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【中本裕己 エンタなう】月面着陸を当時の気分で疑似体験! 映画「ファースト・マン」

 ぜいたくな「レトロVR体験」と言ったらいいだろうか。人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の船長、ニール・アームストロングの伝記映画『ファースト・マン』(公開中)をIMAXで観てきた。

 米空軍のテストパイロット、ニール(ライアン・ゴズリング)は、生死が危うい事態にも冷静沈着。NASAの宇宙飛行士に選ばれ、家族とともにヒューストンに移住し、過酷な訓練を受ける。やがてソ連との“宇宙競争”に劣勢だった米国は、だれもが成し得なかった月面着陸への挑戦を宣言する。

 私生活でも寡黙で、パニック状態に陥っても慌てない。セリフが極めて少ないニールの感情を表すのは、彼の目線で撮った「一人称」カメラ。観客はまるで彼自身になったような疑似体験ができる。劇場の床こそ動かないものの、絶叫マシンに乗ってる気分になる場面もある。ドッキングやランデブーという懐かしい言葉とともに、デジタル時代にあえてミニチュアを駆使した撮影。ニール夫婦が若い頃に亡くした愛娘への思いが、単なる英雄譚ではない深みを与えている。

 監督と主演、そして音楽も「ラ・ラ・ランド」組。むかし見たSF映画のような懐かしい宇宙観が漂う電子音楽は、テルミンによるもの。ニールのモノマネではなく人間性に寄り添ったライアンの好演が光る。二枚目すぎないのが良い。将来、トム・ハンクスのお株を奪うかもしれない。(中本裕己)

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