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【中本裕己 エンタなう】耳だけが頼り…究極の“密室”サスペンス 映画「THE GUILTY ギルティ」

 クチコミで、じわじわと評判が広がっているデンマーク発のサスペンス映画「THE GUILTY ギルティ」(公開中)。日本で言えば110番にあたる通報を受ける男が耳からの情報だけで犯人を追い詰める。ネタバレは禁物だが、ほんのさわりだけを。

 ぎらついた中年警察官アスガーは、過去に何かやらかしたようで、今は緊急通報司令室のオペレーターとして一室で市民に応対している。小さな交通事故や、薬物中毒の怒鳴り声をやり過ごす中、ある事件の手がかりをつかむ。映像のほとんどは、アスガーの電話姿。助けを求める悲痛な声や、犯人らしき人物の不気味な息づかい…声だけで想像するしかない。アスガーと観客が同化して、見えない現場にあたかも遭遇している気分になってゆく。

 感性を研ぎ澄ましながら見る88分間の上映時間は意外と長い。“密室”劇の究極だ。

 この種の作品では、少し前に公開された佳作「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」(2013年)が印象深い。帰宅途中のクルマの中で、1本の電話を取ったことから、男の人生が大きく変わる。もうひとつ忘れられないのが、「ギルティ」と共に昨年のサンダンス映画祭を競い合った「search サーチ」(18年)。全編PC画面で展開され、失踪した娘を追う父親が家族の意外な顔を探り当て驚嘆する。

 3作品に共通するのは主人公の「自己中心性」。さて、自分だったら何ができるか。(中本裕己)

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