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【中本裕己 エンタなう】映画「たちあがる女」 北欧でエコに立ち向かう強い女の面白サスペンス

 大自然に恵まれた孤島の小国アイスランドを舞台に、たったひとりの熟女が環境破壊に闘いを挑む。こう短めに説明すると、意識高い系で、男にとっては苦手な女性が浮かぶが、映画「たちあがる女」のヒロインは、つい応援したくなる勇敢でお茶目なジャンヌ・ダルクである。

 田舎町で合唱団を指揮するハットラ(ハルドラ・ゲイルハルズドッティル)は、もうひとつの顔を持っていた。映画の冒頭、ハットラが溶岩台地にそびえ立つ送電線に向けて弓矢を放つ。中国資本をバックに大量の電気と水を使って環境破壊する地元のアルミ精練工場に一撃を食らわしたのだ。一時的な停電で、工場はパニック状態に。姿を見せぬ謎の環境活動家“山女”は犯行を繰り返す。「アルカーイダやISに匹敵する国家産業の敵」と断罪するテレビニュースを平然と見届けるハットラの部屋には、ネルソン・マンデラやガンディーの絵が…。覚悟がうかがえる。

 その一方で、彼女がかねて切望していた戦災孤児の幼女を受け入れる願いがかない、環境活動との狭間で悩み始める。

 エコとサスペンスと母性がユーモアで包まれ、ハラハラした後、温かい気持ちになる不思議な世界観。ハットラの心象風景を写すように楽隊が、あちこちに登場するのも面白い。ジョディ・フォスター監督・主演でハリウッドリメークも決まった注目の人間ドラマ。

 9日から東京・恵比寿ガーデンシネマほかで、15日から大阪・シネ・リーブル梅田など全国順次公開。(中本裕己)

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