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【BOOK】「自分の気持ちを前に出していけば、何かを変えるきっかけに」 中江有里さん『残りものには、過去がある』 (1/3ページ)

★中江有里さん『残りものには、過去がある』新潮社(1500円+税)

 「結婚に、愛なんていらない?」と帯にある。しかも、タイトルが意味深長だ。思わず手に取ってしまった。読み進むにつれて、結婚生活に愛がいるかいらないかを超越した、理想の形が見えてきた。(文・たからしげる 写真・宮川浩和)

 --友人の披露宴に出席したとき、アイデアが生まれたそうですね

 「3年くらい前のことです。結婚式の披露宴は、自分が主ではなく、あくまで人を祝うためにここにいるという、ある種の心地よさを感じました。その正体って何だろう、と考えたんです。その後、文芸誌に連載のお話があったので、結婚式や披露宴を舞台に、連作短編という形で書くことにしました。そこから、今回の話が立ち上がってきたんです」

 --タイトルの意味するところは

 「普通なら、残りものにあるのは〈福〉です。でも、本当にあるのかな、と考えました。〈過去〉のほうは、この小説を書く前から自分のフレーズとしてすでにあって、こちらのほうが自分には引っかかるな、と思いました。たとえば売れ残った商品にあるものは、売れなかった理由=過去。マイナスのイメージではありません。現在から見て自分の中では過去として切り取れるものは、生きている限りだれにでもあります。だれにだって残りものがあり、過去がある、という意味です」

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