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【中本裕己 エンタなう】大人には先が読めない子供目線で貧困描くサスペンス 映画「こどもしょくどう」

 貧困や家庭事情で孤食を余儀なくされた子供たちに無料や安価で温かいごはんを提供する「こども食堂」の活動が全国に広がっている。最近ではファミリーマートも取り組みを始めて話題に。映画「こどもしょくどう」の舞台は、東京・下町のそうした善意の食堂。ただ、心温まるドラマでもなければ、声高に政権批判をするようなプロパガンダでもない。終始、子供目線でありのままが描かれていて新鮮だ。

 小学5年生のユウト(藤本哉汰)は食堂を切り盛りする両親(吉岡秀隆、常盤貴子)と妹と4人暮らし。母子家庭の友人、タカシを店に招いて夕食をふるまう。ある日、ユウトらは河原の軽ワゴンで父親と車上生活をするミチル(鈴木梨央)姉妹を目撃。やがて父親は失踪してしまう。

 ユウトたち子供は、純真無垢なだけでなく、残酷な一面もある。いじめられっ子には「なんでいじめられているか考えろよ」と突き放す。河原でひもじい思いをする姉妹への近づき方も、じつにぶっきらぼう。しかし、理屈先行で何もしない大人たちと違い、何とかしようと予想もつかない行動に出る。動物的本能とも言うべきもので、なかなか行動が伴わない大人を見透かしている。

 子供たちの先が読めない一流のサスペンスで、「万引き家族」とは同工異曲の、日本のいまの断面。「火垂るの墓」「爆心 長崎の空」の日向寺太郎が監督。名子役たちと、「百円の恋」の足立紳の脚本が光る。4月5日まで東京・岩波ホール。順次全国公開。

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