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【ぴいぷる】映画監督・中島貞夫 84歳、“意気軒昂” 「ヒットしたら、また高良君と時代劇を…」 20年ぶりメガホンの『多十郎殉愛記』12日公開 (3/3ページ)

 追っ手の侍を多十郎は、その地形を熟知している竹林へと誘い込む。

 「竹林は『木枯し紋次郎』の撮影で使った場所で、ここへ敵を引き寄せれば、地の利を使って、たとえ数十人が相手でも戦える。長年、そんな構想を温めていたのです」

 この殺陣の発想の源泉は、“時代劇の父”と呼ばれた巨匠、伊藤大輔監督の「長恨」だという。

 「15分しかフィルムが現存しない幻の時代劇。伊藤監督がどんな殺陣を描こうとしたのか、想像しながら撮ったのです」

 現場には殺陣師もいたが“いてもたってもいられず”持っていた杖を日本刀に見立て、監督自ら殺陣の指導を行った。

 「俳優、監督ら一緒に時代劇を撮ってきた仲間が次々と亡くなっていく。だからこそ、時代劇の火を消したくなかった」

 実は、一昨年死去した東映時代からの盟友・松方弘樹が今作に出演するはずだったと教えてくれた。

 「脚本の第一稿を見せたら、彼はとても喜んでくれた。それなのに…」

 本当に最後の一本に?

 「ヒットしたら、また高良君と組んで時代劇を撮りたい…」

 東映時代劇を支えた大ベテランの創作魂は、なお熱く燃え盛っている。 (ペン・波多野康雅 カメラ・南雲都)

 ■中島貞夫(なかじま・さだお) 1934年8月8日生まれ、84歳。千葉県出身。映画監督。東京都立日比谷高校から東大文学部卒。東映入社後、京都撮影所へ配属され、マキノ雅弘、今井正監督らに師事。64年、時代劇「くノ一忍法」で監督デビューする。66年、松方弘樹主演で出世作となった「893愚連隊」、72年に「木枯し紋次郎」、91年から「新極道の妻たち」など極妻シリーズを監督。98年の「極道の妻たち 決着(けじめ)」以来、長編監督は20年ぶりとなる。

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