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【元文春エース記者 竜太郎が見た!】池袋暴走事故で思い出した「光母子殺害事件」 少年を糾弾する記事に心開いた被害者 (1/2ページ)

 東京・池袋で乗用車が暴走した事故で妻と3歳の娘を奪われた男性の会見をみて、あの事件を思い出さずにはいられなかった。

 1999年4月、山口県光市。鈍色にたたずむ新日鉄沖田アパートの前で、私は立ち尽くしていた-。平成の時代、阪神淡路大震災やオウム事件、ニューヨーク同時多発テロなどを取材してきたが、最も印象に残る事件は「光母子殺害事件」である。

 同じアパートに住む少年Aが、新婚の主婦と生まれたばかりの娘を殺害。犯行は残忍極まりなく、目的は強姦だった。

 週刊文春の命を受け、現地に到着したときにはすでに葬儀も終わり、報道陣であふれた現場も人けはなく、周回遅れの私が聞き込みを続けるのみ。

 地元新聞記者は「被害者の本村さんはマスコミ不信が強くて取材陣から雲隠れ。私らも試みたけれど、おそらくインタビューは無理です。Aの家庭は複雑で母親が自殺。そうした環境と少年法があるので、いま、マスコミの論調は同情的な見方が強い」と解説してくれた。

 新証言も絶望的な中、ひたすら私は戸別訪問を続け、山を越えた未整備の新興住宅地で、ある主婦の証言を得た。Aの名前を伏せたまま取材趣旨を告げると、「やっぱりあの子よ、絶対。お隣さんだったんだけど、子犬を飼っていて、あの子がかわいがっていたのね。けど夕暮れにいつも、“キャン!”って子犬の鳴き声がするから見たら、あの子がそこの崖に子犬をほうり投げて遊んでいたの。何度も私、やめなさいってしかったんだけれど、じっと見て黙っているだけ。それも、ずーっと続けていたのよ、毎日!」。おびえた主婦の表情が忘れられない。

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