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【玉袋筋太郎 玉ちゃんの酔滸伝】オヤジの死も「アッという間」に時が流れて… 17回忌の日のロケでスナック5軒 (2/2ページ)

 私の仕事も順調になってきた頃合いでしたから、父の死の2日前に会った時に「お父さん、これから親子で楽しくやろうよ! 親孝行しちゃうぞ!」が最後の会話になってしまったので、猛烈な喪失感で目の前が真っ暗になりました。

 誰しも死から逃げることはできない、しかし、自ら死を選んでしまった父。自殺は残された家族を「なぜ救うことができなかったんだ」や「自分たちが死に追いやってしまったんではないか?」という精神面における大きな負のお土産を残していくのです。その負の土産を抱えながら生きていくしかありません。

 今ではこうして語ることができますが、父の死の直後から数年はその負の土産を消化することができませんでした。

 時は流れます。自分の仕事や、家族のことなどが重なり、忙殺される程の日々が続き、アッという間に17年間が過ぎたのです。

 父の17回忌の日、私は大阪でロケがあったので、お寺さんには行けませんでした。代わりに妻が17回忌法要を済ませてくれました。

 新幹線の車中、妻からきれいなお墓の写真が送られてきました。「オヤジ、17回忌も出てこないバカ息子でごめんね」の念から涙があふれてきました。

 その日はスナックのロケでした。父の17回忌の日のロケです。「おい、オヤジ、息子のオレは死んじまったオヤジの分まで飲んでるからな!」と心に決めてスナックを5軒めぐるロケに、時の過ぎゆくまま臨んだのでした。

 ■玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう) お笑い芸人。1967年6月22日生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入り。TBSラジオ「たまむすび」(金曜)、TOKYO MX「バラいろダンディ」(火曜)にレギュラー出演中。2013年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。著書に「スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界」(講談社)、「スナックの歩き方」(イースト新書)など。

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