記事詳細

【中本裕己 エンタなう】男4人の思惑が転がるフランス流西部劇の傑作 映画「ゴールデン・リバー」

 こんな西部劇、見たことない。派手なドンパチがあるにはあるが、砂金に目がくらんだ男4人の思惑が絡んだあげく、「本当の幸せって何?」と根源的な問いかけを残す人間くさいサスペンス。

 フランスの名匠、ジャック・オーディアール監督が手がけた映画「ゴールデン・リバー」(公開中)である。

 といって、理屈っぽい話ではない。時はゴールドラッシュに沸く1851年。誰もが震え上がる殺し屋の“シスターズ兄弟”(ジョン・C・ライリーとホアキン・フェニックス)は、オレゴン一帯を取り仕切る雇い主の提督から密命を受ける。偵察係のモリス(ジェイク・ギレンホール)が追う、謎の男ウォーム(リズ・アーメッド)を始末することだった。

 このウォームの正体が実は、黄金を探し出す化学式を発見した化学者だったと分かると、4人は互いに腹を探り合いながら手を組み“黄金の川”で一攫千金を夢見ることになる。

 開拓時代の荒野では旅するだけで命がけ。寝ている最中に蜘蛛を呑みこみ奇病にかかったり、馬がバテて動かなくなったり。ロードムービーとしても傑作で、追っ手との豪快なガンアクションも見もの。そして何より金に目がくらんだ4人がどう変わってゆくか。

 黄金を手にした暁には、「貧富の差や争いごとのない理想の社会を作りたい」というウォームと、人間の浅ましさの対比が実に面白い。(中本裕己)

関連ニュース