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【中本裕己 エンタなう】閉店後の銭湯が覗いてはいけない惨状に… 怖くて笑える異色サスペンス 映画「メランコリック」

 銭湯にだれもが抱くイメージといえば、ほのぼのとした人情味あふるレトロな風情。ところが、閉店後、もし“殺し”の現場になっていたとしたら…。映画「メランコリック」は、日常の延長にある危険な落とし穴にはまった青年の怖くて、笑える異色サスペンスだ。

 和彦は東大を出て、アルバイトを転々としてきたニート。一家団らんの食事では、どこか浮き世離れした表情だが悲壮感はない。ひょんなことから近所の銭湯で、高校時代の百合と再会。百合が銭湯好きと知り、銭湯で働かせてもらうことに。ところが、深夜の帰途。明かりが漏れる銭湯の裏口からそっと入ると、凄惨な殺しの現場と化していた。

 登場する俳優は全員達者だが有名ではない。俳優の名前に邪魔されず、ストーリー展開に身を委ねる楽しさがある。まったく先の予想がつかない展開なのだ。そういう意味では昨年、ブームを巻き起こした「カメラを止めるな!」にも似ている。小さな劇場で満席が相次ぎ、面白さがネット上のクチコミで広がりつつある。

 和彦役の俳優、皆川暢二がプロデューサーを務め、香港映画ばりのアクション指導も兼ねた同僚役の磯崎義知、本作が長編デビューとなる田中征爾監督によるユニットが「自分たちの手で」作り上げた。その意気や良し。気持ちのいい結末は、見てのお楽しみ。

 東京・アップリンク渋谷ほかで上映中。16日からイオンシネマ京都桂川など順次全国公開。(中本裕己)

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