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【サム・ペキンパー監督 バイオレンスの系譜】人々の度肝を抜いた…従来の戦争映画の常識を覆した傑作「戦争のはらわた」(1977年) (1/2ページ)

 『戦争のはらわた』も当時の人々の度肝を抜いた。これまで連合国側からの視点で撮ることが多かった戦争映画を、ドイツ軍視点で撮ったことや、ペキンパーの専売特許となったスローモーションの多用と戦闘シーンのリアルさだろう。

 「従来の戦争映画の型を破る」と話していた監督だけに安易な善悪二元論に異を唱えたかった意気込みが感じられる。以後の戦争映画制作者の大きな手本となっている。

 第二次世界大戦の激戦場になった東部戦線。クリミア半島でソビエト軍と対峙するドイツ軍。そこへシュトランスキー大尉(マクシミリアン・シェル)という名誉欲の強いプロシアの貴族が着任してきた。彼は鉄十字勲章が欲しかった。

 上層部の信頼が厚いシュタイナー伍長(ジェームズ・コバーン)と捕虜のソビエト軍少年兵の扱いで意見が対立。それ以来、シュトランスキーは彼を快く思っていない。

 シュトランスキーが司令部からの撤退命令を知らせなかったため、シュタイナーは最前線に取り残されてしまう。

 敵に包囲されたシュタイナーたちはソビエト軍の軍服を手に入れて脱出を図る。シュトランスキーはそれを知っていながら、部下に「これは敵の罠だ」として発砲を命じるのだった。

 ロケ地はユーゴスラビアだったので、マキシム機関銃などの兵器はユーゴ軍の実物を使用。ドイツ軍を苦しめた装甲の厚いソビエト軍のT-34戦車も実物。ソ連軍の空爆シーンの実写で出てくるF4Uコルセアは東部戦線に配置されておらず、太平洋戦争のものを使用したようだ。

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