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【昭和歌謡の職人たち 伝説のヒットメーカー列伝】作曲家・叶弦大、一見こわもてだが、歌は優しく力みなく 「自動車ショー歌」「昔の名前で出ています」 (1/2ページ)

 令和の世になっても、昭和歌謡は熱い。今もなお歌い継がれる名曲を生んだプロフェッショナルたちの素顔を、元音楽ディレクターが明かす。

 「あの娘をペットにしたくって ニッサンするのはパッカード」と歌うご存じ小林旭の「自動車ショー歌」。作曲家、叶弦大(かのう・げんだい)さんが手がけた同曲は1964年、東京オリンピックで日本中が盛り上がる中、映画「投げたダイスが明日を呼ぶ」の挿入歌として登場した。

 歌詞の一部がひっかかり、放送禁止になったことで変更された。それが反体制のイメージ曲となり、学生運動家の間でも愛唱されヒットとなる。

 叶さんは1938年生まれ、音大出身で歌手デビューされた。レコード会社の制作担当はあの馬淵玄三さんだった。その後、作曲家に転向。馬淵さんとの師弟コンビで石橋正次の「夜明けの停車場」(72年)のヒットを生んだ。

 歌謡演歌、民謡演歌調からポップスまで幅広くヒットを手がけてきた。どの曲も歌い出しの歌詞とメロが一対になりインパクトがある。流行歌のヒットは、歌い出しが大きな決め手になる。それは聴き手が歌の世界観に入りやすいからではないだろうか。

 私は90年頃、馬淵さんの事務所でお会いしたのが最初だ。馬淵さんと曲のやりとりをする現場に居合わせたが、叶さんはできあがった曲をピアノで弾きながら歌われた。一見こわもてだが、歌は優しく、力みがなく、心にしみるものだった。

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