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【みうらじゅん いやら収集】流れる歌や曲の前に“アァァ…ン”のあえぎ声入り… 手元に置きたい見開きページ 谷ナオミ『悶えの部屋』と麻吹淳子『愛の奴隷』

 先日、若者と喋っていて「まだCDなんか買ってるんですか?」と、大層驚かれた。“CDなんか”、この言われようではどう考えてもCDが気の毒でならない。

 レコード、カセット、MD、後はよく知らないけど、CDが誕生した時、「こんな便利なものはない」と、世間は喜んだのではなかったか。

 うちのオカンは当初、レコードが小さくなったという認識で、聞いてたCDが終わると裏面にし、「ちっとも鳴らへんがな」と、苦情を呈したものだ。

 そんな時代に乗り遅れた感がとうとうCDにまで及び、今ではネットの配信で音楽を聴くようになった。

 「でも、それじゃ音楽だけでしょ。やっぱ、ジャケ写が欲しいじゃない」

 レコードジャケット欲しさに買ったものもたくさんある。それがCDで再発された時、やたら小さくて僕は気に入らなかったが、それでも無いよりいい。今ではあのやたらよく割れるプラスチック製のパッケージだけじゃなく、紙ジャケで発売されているものもある。どうやらネット配信でもジャケは見られるらしいが、手元に置きたいじゃない。特に、お色気モノは。

 谷ナオミ『悶えの部屋』と、麻吹淳子『愛の奴隷』なんて紙ジャケCDは見開きページもあるお得である。御二人は日活ロマンポルノ、団鬼六シリーズで“SMの女王”と称された方。流れる歌や曲の前に“アァァ…ン”とか“イヤアァーン…”とかのあえぎ声入り。

 麻吹さんに至っては“ピシーッ! ピシッ!!”と、鞭の音まで聞こえてくるドラマ仕立て。

 ついつい音楽のようにボリュームを上げてしまいがちだが、そこは密かに聞くのがお色気CDの条件である。

 若者は「今、何だってネットに音源上がってますから」と、得意げだったが、たぶんこの2枚のCDは無いんじゃないかと思うのだが。

 ■みうら・じゅん 1958年2月、京都市生まれ。イラストレーター、漫画家。エッセイストとしても知られ、97年に「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞した。近著に『ラブノーマル白書』(文春文庫)、『みうらじゅんの松本清張ファンブック「清張地獄八景」』(文芸春秋)など。webサービス「note」でいとうせいこう氏との自主ラジオ『ご歓談』を配信中。

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