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【話題の映画ウラのウラ】予想もつかぬ展開のハリウッド“刑務所もの” 「THE INFORMER 三秒間の死角」29日公開

 英国推理作家協会賞をはじめ、数々の賞に輝いた犯罪小説「三秒間の死角」(角川文庫刊)が映画化され、本好きの間で今話題となっている。それが29日公開の「THE INFORMER 三秒間の死角」だ。

 刑期をゼロにするとの引き換えに、FBIの情報屋となったピート(ジョエル・キナマン)は潜入先の麻薬組織の取引現場に、FBI捜査官(ロザムンド・パイク)のチームを導き、組織を壊滅させようとしていたが、思わぬアクシデントが発生する。取引相手が潜入捜査官(ニューヨーク市警)ということが分かり、その場で麻薬組織メンバーに射殺され、作戦は中止となってしまう。

 この事件のせいで、ニューヨーク市警の取り締まりが厳しくなり、売り上げが落ちると判断した組織のボスは、ピートに刑務所内部の麻薬取引を仕切れと命ずる。断れば愛する妻子の命が危ない。一方、FBIも刑務所内の組織の壊滅を画策。ピートはやむなく囚人として刑務所に舞い戻る。

 だが、刑務所内は危険に満ちた場所。やがてFBIに切り捨てられたピートは、麻薬組織の指令を受けた囚人から命を狙われる。FBI内部の葛藤や争い、ニューヨーク市警の捜査などが複雑に絡み合い、事件は予想もつかぬ方向へ展開していく。

 原作では北欧や東欧が舞台だが、アメリカの話に巧みに置き換えられ、近年になく語り口もうまい。本作はジョニー・デップの「フェイク」や公開されたばかりの「ブラック・クランズマン」といった潜入捜査官ものがすぐ頭に浮かぶが、ハリウッドには、古くから刑務所を舞台とした作品群があり、むしろそちらのジャンルを思わせる。

 なお原作に登場する麻薬組織(マフィア)の表の顔は、KGBや東欧の元情報機関員が立ち上げた警備会社となっている。近年ポーランドなどで、過去の共産主義の犯罪が暴かれ始めているが、それらの動向に元共産党員の麻薬組織や暴力問題も影響を与えているのではないか。ぜひ本も読んでおきたい。(瀬戸川宗太)

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