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【巨匠・森谷司郎が描く 日本の光と影】映画の方が先に“完成”していた青函トンネル 「海峡」 (1/2ページ)

 すっかり大作映画の監督という肩書がついた森谷司郎監督だが、そのせいで他の作品と比較されることが多くなり、痛し痒しになってしまった。

 1982年公開の「海峡」も高倉健と吉永小百合主演とあって製作段階から注目された。実話がベースなので、何かと「黒部の太陽」(68年、熊井啓監督)と比較されたのは仕方がなかった。どちらもトンネル工事の映画で実話。あちらは三船敏郎、石原裕次郎という大スターで売り、評判も上々だったから。

 さて批評家の目にはどう映ったか。

 青森と北海道をつなぐ青函連絡船だが、太平洋戦争、そして朝鮮戦争の余波で機雷が津軽海峡に流れ、危険極まりなかった。そこで浮上したのが津軽海峡の海底にトンネルを通す計画だった。

 61年から始まった工事は開通が88年。実に30年もかかり34人の尊い命が奪われる難工事だった。

 物語は岩川隆の同名小説がベースになっており、文部省特選に指定されている。

 阿久津剛(高倉健)は地質学を学び技師として国鉄職員となった。トンネルの地質調査で竜飛岬を訪れる。そこで身投げをしようとしている女、牧村多恵(吉永小百合)を助ける。彼女はかつて福井の旅館で働いていたが、自分の不始末から出火、11人の客を死なせた過去を持っていた。トンネル工事計画は一度は消滅しかけたが、何とか実現に向かう。掘るのが得意なベテランのトンネル屋の猛者も集まる。その中には腕利きだがゴネることで有名な源助(森繁久彌)らもいた。

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