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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「この一年」》「いだてん」に拍手!! (1/2ページ)

 この一年、意外だったことは、1964年東京五輪開催に至る半世紀を描いたNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の超低迷だ。全47話の平均視聴率は大河史上最低の8・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。しかし、全話見た記者は決してそんな数字しか取れない作品ではなかったと思う。

 「大河ドラマらしくない」という評判もよく耳にしたが、NHKが4年以上もかけて調査した史実をバランスよく織り交ぜ、フィクションとして展開していく物語は、「さすが大河」ともいうべきものだった。

 例えば、32年ロサンゼルス大会のエキシビションで、競泳男子の日本選手団が伝統的な日本泳法を披露する場面。満場の観客が拍手を送り、最後には各国選手も一緒になって泳ぐという平和の祭典を象徴するシーンだ。

 ほぼ記録映画のように感じつつ涙していたが、公式ツイッターによると、実際に記録にあるのはエキシビションで日本泳法が披露されたという1行のみ。あとは脚本の宮藤官九郎さんの手で「国境を越えて各国が健闘をたたえ合うシーン」が生まれたのだという。

 一方、64年東京大会金メダルの女子バレーボール日本代表と、「鬼の大松」として知られた大松博文監督の厳しい特訓を描いたシーンは大げさに見えたが、放送後の「いだてん紀行」で流れた実際の映像とほぼ同じ。美しいフィクションやウソのような本当の話が巧みに織り交ぜられ、映像や記録が多く残る近現代の物語ならではの楽しみがあった。

 また、今はない旧国立競技場を細部まで蘇らせるなどの視覚効果(VFX)を「革命的」(公式ツイッター)なほどに多用し、ぜいたくな映像も見せてくれた。

 日本初の五輪選手、金栗四三と、64年東京大会招致に尽力した田畑政治の2人の主人公に加え、語り部の落語家、古今亭志ん生ら多数の登場人物により、時代や場面を行きつ戻りつしながら展開していく物語は宮藤さん脚本の真骨頂だ。型にはまらない、挑戦的な大河だったと思う。