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【CS・BS 今週の狙い撃ち】老夫婦の“穏やかな暮らし”ドキュメンタリー 「人生フルーツ」

★「人生フルーツ」〈2月12日(水)午後11時 スカパー!BS255日本映画専門チャンネル〉

 東海テレビが多くのドキュメンタリー番組を制作し、高く評価されているのはご存じでしょうか? 「ヤクザと憲法」はかなり話題になりました。私が東中野の映画館へ見に行ったときなどはほぼ満員という盛況ぶりでした。

 12日午後11時からスカパー!日本映画専門チャンネルで放送されるのが東海テレビ制作の「人生フルーツ」です。

 これは、愛知県のニュータウンの一角で、自然とともに暮らす老夫婦を映すドキュメンタリーの劇場版。

 90歳の建築家・津端修一さんとその妻・英子さんにカメラを向け、その豊かな老後の暮らしぶりと、60年連れ添ってきた2人の深い夫婦愛を見つめていきます。かつて、日本住宅公団のエースとして活躍した津端さんは、1960年に自然との共生を目指した愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの基礎設計を手がけるも、そこは無気質な大規模団地に取って代わられてしまいます。やがて津端さんはその土地に平屋を建て、雑木林を育て、里山の風景を甦らせるのです。自ら育てた野菜や果物を料理する英子さんに寄り添う姿は美しくもあります。そんな90歳の津端さんに新たな依頼が舞い込む…。

 “豊かな老後”と書きましたが、決して金銭的なことではありません。世間のセカセカした雰囲気とは別の時間軸で生き、常に穏やかで、理知的なのです。修一さんも英子さんも、2人が同じような知性と価値観を持っていて、見ている側も穏やかな気持ちになり、羨ましくもなります。

 この番組の前後には、元NHKアナウンサー三宅民夫さんと、映画のナレーションをつとめる樹木希林さんの対談もあります。今やこの世の人ではなくなってしまった樹木さんがこの老夫婦を見て、死について語っているところなどは、また新たなドキュメンタリーとなったと言ってもいいでしょう。現代人は誰もが見るべき映画かもしれません。(横川メロディー)

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