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【中本裕己 エンタなう】女性から見た不倫の性愛に学べ 「Red」

 不倫か純愛か。道を外れた男女の性愛を女性側から描くと、こうも濃密で儚(はかな)く、美化されるのかと感心した。女性から圧倒的に支持される島本理生の問題作を三島有紀子監督が映画化した「Red」(公開中)である。

 夫(間宮祥太朗)は、イケメンのエリート。かわいい一女をもうけ、豪邸に住み、姑も面倒を見てくれている。だれもがうらやむ生活に見えた塔子(夏帆)だったが、10年ぶりに、かつて愛した鞍田(妻夫木聡)と再会して歯車が狂い出す。

 行き場のない殻に閉じこもっていた塔子の気持ちを少しずつほどいてゆく鞍田。その象徴が、ベッドシーンだろう。どこか薄幸そうな塔子の横顔が、徐々に上気して火を噴く。細身ながら肉感ある肌をそっとねっとり愛撫する鞍田。ギラついたイメージの妻夫木が役柄もあってか、驚くほど枯れた味わいを見せる。前戯が長く、男目線のAVが描くエロスの対極だ。

 性と食は一体である。

 夫は結婚記念日にすき焼きを囲んだ際、苦手な豆腐や春菊を塔子によそった。まあ夫婦にありがちな光景か。

 ところが、鞍田は何気ない田舎の食堂で、自身の里芋を「好きだったよね」と塔子の器に移し、「僕も好きだったんだけど」と笑いかける。

 小説とは異なる結末に賛否あるらしいが、夏帆が体当たりで見せる“オンナの本性”に、男はたじろぐばかり。そんな塔子の内面を見抜く同僚役の柄本佑が相当カッコイイ。余貴美子、酒向芳ら脇役陣も豪華だ。(中本裕己)

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