記事詳細

「生きる」意味を問う…こんな波瑠が見たかった 20日公開『弥生、三月-君を愛した30年-』 (1/2ページ)

 やたら明るく、優等生なだけではない波瑠(28)を見たかった。

 20日公開『弥生、三月-君を愛した30年-』(遊川和彦監督)の波瑠はやたら明るくもなく、優等生なだけでもなく、でも実に魅かれる。何かを抱え込み全力で生きるゆえの疲労や虚無、正義を貫くほどバランスを崩してしまう危うさを封じようと必死になる主人公を演じ切っている。

 波瑠が演じる結城弥生と俳優の成田凌(26)が演じる山田太郎(愛称サンタ)の16歳から50歳までを描く。季節はいつも3月だ。今年は3月4日の出来事、来年は3月5日の出来事と日がずれていく。ドラマ『同期のサクラ』や『家政婦のミタ』などを世に送り出したヒットメーカーの脚本家は、3月に着想し、年月をドラマチックに仕上げた。

 夢を追いかける高校生2人は少しずつ大人になり、結婚し、挫折し、高校生の頃の笑顔を失い、夢を見失う。長い間、そばに居続けたことが2人を引き離さなかった。

 根っこには冒頭近くで描かれる、同級生の渡辺サクラ(杉咲花)の闘病と死がある。輸血が原因でHIVに感染してしまうが、今のように効果的な薬はない。偏見もはびこっていた時代に、弥生とサンタとサクラの恋心を隠した友情が育まれるが、卒業を前にサクラは命を閉じてしまう。

 サクラが眠る丘の上の墓地。弥生とサンタは一緒に参ったり、すれ違ったりする。偶然が積み重ねられていく。都合がいい偶然に邪念を持ったら物語にのめりこめない。3月を描くなら、2011年3月11日を外せない。どう描くのかは伏せておく。繰り返すが偶然に作り手の都合を見い出そうとしてはいけない。

関連ニュース