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【奈良崎コロスケ 音楽とおじさん】第24回 「いやまぁ、これからはヒップホップの時代ですからね」

 16歳のヨシオが今村さんに宿題を提出したのは1985年5月。このカセットはA面が洋楽、B面が邦楽という構成になっています。アメリカではRun‐D.M.C.を始めとした日本でいうところのミドルスクールのスターが続々と登場していたヒップホップシーンですが、他国ではまだまだ手さぐり状態(マルコム・マクラーレンのソロもその一例)。日本にもシーンと呼ばれるものはなく、YMO周辺、吉幾三、佐野元春といった面々が実験的に取り入れていたことがわかります。

 なかでも突出しているのは「フリースタイルダンジョン」でおなじみ、いとうせいこう。コンセプトはコミカルですが、「業界こんなもんだラップ」(1985年4月)は完全にアメリカのヒップホップシーンにシンクロしており、サウンドもリリックもフロウも驚くほど完璧。いま聴いてもまったく古びていない。その革新性は現在活躍中のラッパーたちからもリスペクトを受け続けています。「ダンジョンの左端にずっと座っていて審査長的ポジションだけど、あのひと何者なの?」と思っていたそこのヤング。2016年に30年の時を経てCD化されていますので、ぜひともチェックしてくださいませ。(奈良崎コロスケ)