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過剰な演出を抑え輝く、出会いは偶然の導き 菅田将暉&小松菜奈がW主演「糸」 (2/2ページ)

 印象的なシーンがある。リーマン・ショックでとんだファンド会社の社長(斎藤工)が逃れる先が沖縄の島。小松演じる葵が逃亡先に気づき訪れた際、現地の人がお墓の前で歌い踊る日常に出くわす。先祖からのつながりがなければ現在がないことが、象徴的にうまく描かれている場面だ。

 葵が信頼する人に裏切られシンガポールの屋台でカツ丼をかきこむシーンもいい。食べる、のではなく、周囲の目も気にせずかきこむ。この人は生きられる、強い、と思わせる場面で美しい。

 生老病死の仏教用語とともに、中島みゆきのデビュー曲『時代』(劇中では中国語で流れる)がよみがえった。その歌詞の世界観が本作の世界観と合致するからだ。

 瀬々監督はそこまで意識して撮っているのではなかろうか。少なくともみゆきファンとみた。

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