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【ぴいぷる】作家・金原ひとみ パリと東京「2つの世界で生きる」 『『パリの砂漠、東京の蜃気楼』を上梓 (2/4ページ)

 エッセーなのか。小説なのか。著者にとっては、さほど境目がないものらしい。

 6年間暮らしたフランス・パリと2年前の夏に帰ってきた東京。2つの都市で過ごした日々を題材にした『パリの砂漠、東京の蜃気楼』(ホーム社)を上梓した。

 「うーん、エッセーの体(てい)で、小説の気分…。『縛りのない小説』かな。昔から日記が苦手で、境目をなくして自由に書いてみようと思ったんです。(登場人物には)実在のモデルがいることもあるし、1人を2人分のエピソードに分けたりもしましたね」

 9年前の東日本大震災・原発事故から逃れるようにして地方都市で次女を出産。さらに「いっそ新しい環境で暮らしてみたい」と幼子を連れてパリへ移住した。待っていたのは全く違う価値観や生活環境。本作冒頭に登場するのはパリで多発したテロである。

 「新型コロナウイルスと同様に、過去には経験したことがない、全く違うタイプの恐怖。『あり得ない』と思っていたことでも、受け止めて、生きていかなくちゃならない。ただし、私のなかでは原発事故の方が恐怖という点でより大きかったように思います」

 フランス人気質(かたぎ)に、ウンザリさせられたエピソードは、テンコ盛りだ。役所などで何かを尋ねても「それは私の仕事じゃない」とにべもなく拒絶される。テレビの修理を頼んでもなかなかやってこない。買い物をすれば必ずといっていいほど腐った玉ネギが混ざっている…。

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