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中国の人権侵害の現実、映画でリアルに再現 ドキュメンタリー「馬三家からの手紙」

 中国は新型コロナウイルスの世界的な大混乱に乗じて、「香港国家安全法」の制定方針を全国人民代表大会で採択し、香港民衆運動の息の根を止めるべく弾圧政策を一挙に加速させた。習近平政権は、同法への国際的非難などどこ吹く風で、今や香港の自由と人権は風前の灯火だ。

 そんな時、実にタイムリーな映画が日本でも公開中だ。世界中の映画祭で高い評価を受けたドキュメンタリー『馬三家(マサンジャ)からの手紙』である。2012年、米オレゴン州で発見された中国からのSOSの手紙が国際的な反響を呼んだ。

 本作は同事件に関心をもったカナダの映画制作者レオン・リー(14年のデビュー作『人間狩り』で中国の違法臓器売買を暴露した)が、手紙を書いた孫毅(ソン・キ)との接触に成功し、苦心の末完成した迫真のドキュメンタリー映画である。

 政治犯として捕らえられた主人公が、瀋陽にある馬三家労働教養所で体験した拷問・洗脳の実態を現地での取材映像をもとにアニメーション等を使いながら、生々しく再現していく。そのため、香港をはじめ中国に住むチベット、ウィグルの民衆を襲う人権侵害のリアルな現実が、二重映しになって浮かび上がる。

 宗教団体法輪功への中国官憲による暴力シーンなど2008年北京オリンピックの裏側で行われていた権力犯罪の一端が垣間見られ、その映像も必見だ。

 わが国のリベラル派マスコミは、こうした事実をひた隠しにしてきた。

 映画は中国を脱出した主人公孫毅が、インドネシアのジャカルタで中国の公安関係者とみられる人物から接触を受けた2カ月後、謎めいた状況で突然死するところで終わる。本作は現在、大阪・シネ・ヌーヴォや兵庫・元町映画館など関西圏で公開中。(瀬戸川宗太)

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