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【生誕100年 世界のミフネ伝説】「黒部の太陽」 セットでも本物と同じように予測外の出水事故が… 迫真のシーンとなった「三船の仁王立ち」 (2/2ページ)

 これに気がついた三船が「でかいぞ」と大声で叫び、みんなに知らせた。スタッフも役者も機材も、それから三船も裕次郎も本気で逃げた。

 カメラマンも立派だ。偶然とはいえCGでは出せない迫力をちゃんと撮っていたから迫真のシーンとなった。熊井監督は「もし三船が恐怖で立ちすくんでいたら、たくさんのけが人が出ていただろう」と回想している。2、3人死んだかもしれないと思ったという。実際、石原は全身打撲で右手親指を骨折した。1年以上も撮影に費やした作品は観客動員800万人の大ヒットとなった。

 この映画は「石原裕次郎の幻の名画」といわれる。なぜか。

 それは版権を持っていた石原プロが、ぜひスクリーンで見てほしいとの理由から長い間ビデオ化しなかったためだ。2018年、ようやくDVD化された。2部構成で197分という長尺とあって、ノーカット完全版のテレビ放送も、14年の日本テレビが初だった。(望月苑巳)

 ■黒部の太陽 1968年2月17日公開。製作は三船プロダクション、石原プロモーション。日活配給。熊井啓監督。原作は木本正次が毎日新聞に連載したノンフィクション小説。

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