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【みうらじゅん いやら収集】“学園ギャグポルノ”確立した福原秀美さん 今でも読み返し、そのスゴさを再確認

 マイナー漫画家としてデビューした1980年。それでもバブルの恩恵か、一時期『ヤングマガジン』の連載を得て、大友克彦さんの『AKIRA』や、きうちかずひろさんの『ビー・バップ・ハイスクール』と、肩を並べてたことがある(と、いってもあくまで掲載上ね)。

 当時、僕のキャッチフレーズは、“ニュー・ウェーブ漫画家”。これは担当編集者が付けたものに違いないが、要するにメジャー漫画にあるまじき、絵がヘタで、話の内容もよく分からないことを新しい波と無理矢理呼んだわけで。僕にとっては実にラッキーな時代であった。

 当然、バブルが弾けた時、また元のマイナー漫画家に戻っていったわけだけど、今後描きたいテーマがいくつかあった。

 その一つがエロ漫画。僕の画力では到底、男性読者の股間を奮い勃たせる作品は無理。分かった上で考えてたのは“ギャグエロ漫画”ってジャンル。だって本来、エロって情熱と滑稽の間にあるもの。特に男の脳内エロは、女子から「バカじゃないのォー」と、呆れられるものばかり。そんなネタを呆けられ前提(呆前)で、描いてみるのはどうか?

 でも、やめた。それは、“学園ギャグポルノ”というジャンルを確立した漫画家・福原秀美さんには到底敵わないと判断したからである。そのジャンルを確立される前は、水島新司氏のアシスタントもされてたお方。絵がウマイ上のギャグポルノだから、一層おかしいのである。当時、『愛と誠』というメジャー漫画の主人公、早乙女愛よろしくセーラー服姿の女子高生が、パンチラで草原を歩いていると、“美しく実物大”と黒ベタ白抜きの筆文字で書かれた(その内容はかなりバリエーション有)ペニスを差し出してきた男と交わる。文字にするとどーってことない話だけど、吉本新喜劇的ルーティン・ギャグの連続で呆然をもフッ飛ばす快作ばかり。たまに今でも読み返し、そのスゴさの再確認をしているほどである。

 ■みうら・じゅん 1958年2月、京都市生まれ。イラストレーター、漫画家。エッセイストとしても知られ、97年に「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞した。近著に『ラブノーマル白書』(文春文庫)、『みうらじゅんの松本清張ファンブック「清張地獄八景」』(文芸春秋)など。新刊『ひみつのダイアリー』(文春文庫)が発売中。

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