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【中本裕己 エンタなう】英老女スパイの意外すぎる過去 映画「ジョーンの秘密」

 イギリスで2000年、スパイ容疑のため逮捕された80代の老女をめぐる数奇な実話をもとにしたベストセラー小説を映画化した「ジョーンの秘密」(公開中)。主演は、「007」シリーズでMを演じたオスカー女優、ジュディ・デンチ。日本人にとっても、決して忘れてはならない戦争の裏面史が明かされる。

 夫に先立たれ、悠々自適の1人暮らしを送るジョーン・スタンリー(ジュディ)が、突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。半世紀以上も前、ソ連のKGBに機密情報を流したというのだ。外務事務次官の死後、見つかった資料から彼女の驚くべき過去が次々と明らかになる。

 取り調べは、ジョーンがケンブリッジ大学で物理を学んでいた1938年に遡る。ユダヤ系ロシア人の女子学生ソニアとの出会いから、共産主義の会合に誘われ、イケメンの従兄弟レオを紹介されて恋に落ちる。

 やがて、ジョーンは核兵器開発機関の事務員として働き始め、リーダー格の研究者に才能を認められて“機密任務”に参加する。それは、各国が競い合っていた原爆の開発だった。実はKGBのスパイだったレオから情報提供を懇願されるジョーン。「共産主義には加担できない」ときっぱり断るが…。

 科学の暴走、イデオロギーの対立、スパイの狡猾さ、戦争の非情-。「あの時代」にいなければ分からない者の叫びを老女となったジョーンが代弁。すぐれた恋愛映画でもあり見応え十分だ。(中本裕己)

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