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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び》さようなら、俳優・立石涼子さん (1/2ページ)

 数々の舞台やテレビドラマで脇を固めてきた俳優の立石涼子さんが8月2日、肺がんのため亡くなりました。68歳でした。

 立石さんは、日本航空の客室乗務員だった私の母の同期でした。母いわく、訓練生時代からとにかくかわいくて魅力的で、でもどこか他の人とは違うたたずまいだったといいます。演劇への夢をあきらめきれず、早々に退社して劇団に入り、母はその俳優人生を一ファンとしてずっと応援してきました。

 故・蜷川幸雄さんに目をかけられ、シェークスピア劇や話題作に多く出演。稽古では蜷川さんが創設した55歳以上の劇団員でつくる「さいたまゴールド・シアター」の指導を任されることもあったといいます。よく通る声、体の向きや視線にも気を配った自然な演技は、どんな芝居にもうまく溶け込んでいたものです。英語が堪能で、海外から招かれた演出家からも厚い信頼を得ていました。

 仕事で演劇を担当することになった私はここ10年ほど、母と立石さんの舞台を見に行き、終演後に一緒に食事をするのが恒例行事でした。演出家の狙い、脚本の解釈、共演者との呼吸…。たいした実績もない一記者が口にする感想なんて参考にもならないだろうに、いつも熱心に耳を傾けてくれました。

 緊張感から解き放たれる終演後、近しい間柄の安心感もあったのか、たばこをくゆらせながら毒を吐くこともまれではありませんでした。でも、その「毒」のすべてが演劇を愛するがゆえ。いい加減な気持ちで仕事に臨む人には容赦なかったし、それだけの厳しさを自分に対しても持っていました。