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【酒井政利 時代のサカイ目】back number、インターハイが中止になった高校生に寄り添い歌のエール (2/2ページ)

 こちらは高校生を中心に話題になっているバンド「神はサイコロを振らない」。俳優の渡邊圭祐主演のMV『夜永唄』が公開されると、「言葉の美しさと幻想的な曲、音に引き込まれる」とSNSをにぎわした。

 バンド名は現代物理学の父・アルベルト・アインシュタインが量子力学の曖昧さを批判した言葉から。男性4人組のこのバンド、「型にはまらない、誰にも出せない音を生み出し続ける」という自分たちが決めた絶対的な法則に従い、自分たちの道を自分たちで切り開いていくという意味を込めて名づけたという。

 確かに、楽器は情感豊かに歌うかのようにフレーズを奏で、歌詞は美しいだけでなく哲学的な言葉がちりばめられている。歌声は重低音を響かせたかと思えばファルセットで幻想感を出す。

 それらがすべて静と動を行き来し、どこかカオスを感じさせる。作詞作曲を担当するボーカルの柳田周作は「この歌が誰かの心に寄り添えますように」というが、寄り添うだけでなく、心に入り込みすみ着いてしまう。

 2015年に結成し、ライブハウスシーンで活躍する彼らだが、リリックビデオの再生も1200万回を超え、メジャーシーンで異彩を放つ存在に近づいている。

 思えばたくましい人たちだ。100年に一度の混沌としたコロナ禍を、どっこいくぐり抜けようとしている。

 ■酒井政利(さかい・まさとし) 南沙織、郷ひろみ、山口百恵、キャンディーズ、矢沢永吉ら300人余をプロデュースし、その売上累計は約8700億円。『愛と死をみつめて』『魅せられて』で2度の日本レコード大賞を受賞した。2005年度、音楽業界初の文化庁長官表彰受賞。

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