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【中本裕己 エンタなう】実力・食欲・モテ力にあふれた魅力を再現 「パヴァロッティ 太陽のテノール」

 名匠ロン・ハワード監督が“神の声”を持つといわれた天才テノール歌手の生涯に迫ったドキュメンタリー映画「パヴァロッティ 太陽のテノール」(公開中)。とにかく明るく、元気がもらえる美声はスクリーンをはみ出すパワーがある。

 先に亡くなった人の偉業は3割増しぐらいに見えることを差し引いてもカレーラス、ドミンゴと世界を回った「3大テノール」で一番上手いのはパヴァロッティだったと、改めて感動する。

 その原動力は、少年時代からの並外れた歌声、ツアー先にパスタの材料をどっさり取り寄せる食欲、そして、ダイアナ妃をも虜にした男の魅力だと分かる構成。

 「神に祝福された声」と称された高音のハイCが晩年に衰えをみせ、ニューヨークのコンサート会場でクラオタども(日本にもいる面倒な奴ら)に、批判される場面も容赦なく映す。ジャンルの垣根を越えた盟友のロック歌手、ボノが「みんな歌の何たるかを分かっちゃいない!」と、生き方が凝縮されたパヴァロッティの声を賞賛する場面が印象的だ。

 71歳で亡くなる数年前に30歳以上も年の離れた女性と再婚して新たに愛児をもうけた艶福家でもある。あちらは日本より寛容かと思いきや、カトリック教徒ということもあって名声が地に落ちるほどボロクソに叩かれ、教会では結婚式が挙げられなかった。それでもなお憎めない稀代のテノール。朗々とした「誰も寝てはならぬ」が耳から離れない。(中本裕己)

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