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【あの日から35年 夏目雅子という大輪】「瀬戸内少年野球団」 凛とした姿が美しい存在感際立つ遺作、惜しまれる早すぎる死だった (1/2ページ)

 原作は阿久悠の自伝的小説3部作の第1部。『文藝春秋』に連載され直木賞候補に。この映画がナレーション以外では夏目雅子の遺作となった。1985年9月11日、27歳で死去した。

 『がんばれベアーズ』や『二十四の瞳』へのオマージュのような作品。米兵に「ギブミーや、ギブミーしてんか」と少年たちがいうシーンは印象深い。配給収入は8億4000万円。

 夏目は瀬戸内の島で、敗戦に意気消沈している子供たちを励ますため、野球チームを結成する国民学校の教師、駒子を演じる。グレン・ミラーの名曲『イン・ザ・ムード』が流れる場面では、夏目の凛(りん)とした姿がとにかく美しい。

 駒子の夫である正夫(郷ひろみ)の弟には、これが映画デビューの渡辺謙。この時、郷が29歳、渡辺は25歳だった。白血病で亡くなった夏目だが、渡辺も白血病になっている。これもなにやら因縁めいている。

 この作品で夏目は、ブルーリボン賞の作品賞ほか、第8回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞に輝いている。

 ロケは岡山県笠岡市にある真鍋島で行われた。

 少年たちのひとり、バラケツの兄役として夏目と共演した島田紳助は「親元から離れている子役たちが寂しがっているだろうと、夏目さんはお風呂に一緒に入って背中を流してあげた」とのエピソードを開かし、「気配りのできるいい人だった」としのんでいる。

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