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【歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡】幻になったレコード会社移籍 1年目と2年目で状況一変、世界意識する存在に (1/3ページ)

 「中森明菜が移籍するかもしれない」

 デビュー1年足らずのアイドルに巻き起こった事態にワーナー・パイオニア(現ワーナーミュージック・ジャパン)の社内は疑心暗鬼に陥っていた。

 「新しいレコード会社設立の相談は当初から受けていました」というのは塩崎喬だ。

 塩崎はワーナー設立時に渡辺プロの系列会社「渡辺音楽出版」から設立メンバーとして送り込まれた人物。設立後はディレクターとして小柳ルミ子の『瀬戸の花嫁』や『私の城下町』、狩人『あずさ2号』などのヒット曲を連発、“名物ディレクター”として業界でも知られた人物だ。

 「外資系のレコード会社だったので、やりにくい部分があったことは確かです。なので新しいレコード会社の設立に反対はしませんでした。ただ明菜に限らず、アーティストの引き抜きだけは反対でした。ところが私の知らないところで(明菜のプロデューサーが)事務所と交渉したようで、その後、制作部門を一緒にやってもらえないかといわれたんです。しかし話が違うと。私にも意地はありましたからね。明菜が移籍したら安泰でしょうが、損得勘定だけで新しいレコード会社を考えたくなかったのです」と結局、新しいレコード会社「ハミングバード」(後の「マイカルハミングバード」)への参加を断った。塩崎の「美学」だったのかもしれない。

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