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【中本裕己 エンタなう】名作にひとつまみの魔法、物語は再び輝く!! 映画「家なき子希望の歌声」

 誰もが子供の頃に本やアニメで親しんだ不朽の名作が、ひとつまみのマジックで再び光を放ち、波瀾万丈の冒険譚となった。物語が生まれたフランス本国を舞台に完全実写化した映画「家なき子 希望の歌声」(公開中)は、壮大な風景に音楽が溶け、心が洗われる。

 「お前はうちの子じゃない。赤ん坊のときにひろってきた。もう出ていってくれ」

 この義父の非情な一言に凝縮された悲劇。南仏の農村で“母”と幸せに暮らしていた少年レミは11歳で放り出される。売り飛ばされた先の旅芸人の親方ヴィタリスと芸達者な犬のカピ、軍服姿の猿ジョリクールの一座に加わったレミは“歌の才”を隠し持っていた…。

 日本製アニメの「家なき子」(日本では1977~78年に放送)に魅了されたという43歳のアントワーヌ・ブロシエ監督。「スピルバーグ的な視点から読んでみて」と妻に力説され、レミに原作にはない素晴らしい声という魔法を与えた。子守歌の不思議な旋律が、作品の縦糸としてピンと張り、少年を思わぬ結末に導く。年老いたレミが振り返る“大人の視点”もサスペンスドラマのフラグ回収のようでワクワクする。

 シネマスコープのクラシカルな撮影で、絵はがきみたいなフランスの農家を映し出す手法は原作者マロの世界観を壊さず、ヴィタリスを演じた“フランスの至宝”ダニエル・オートゥイユの人情に厚い演技も惹き付ける。

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