【織田哲郎 あれからこれから】「音楽のデジタル化」浸透も…新たな形をつくるのは人間 (1/2ページ) 織田哲郎 あれからこれから
今回でいよいよ最終回です。2年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
私がプロとして音楽を作り始めて40年以上になります。その間に音楽の録音システム、楽器、そして皆さんのところへ音楽が届けられる形態と、いろいろなものが激変しました。
かつてプロフェッショナルな演奏家が集まって「せーの」で録音していた時代。どんどん多重録音が可能になっていった時代。基本がコンピューターで作られて、それに人間が合わせるということが当たり前になった時代。
それをリスナーがプレーヤーでレコードに針を落として聴いていた時代。CDというメディアにデジタルで録音されるようになった時代。そして今や音楽はデータとして扱われ、ヘタすると録音された音楽にはろくに値が付かないという事態さえ起きています。
その結果、今世紀に入って改めて生演奏、ライブというものの価値がどんどん見直されてきました。そして今年、コロナ禍によってライブを行うことがとても困難な時代を迎えました。多分、来年になったらすぐに元通り、というわけにはいかないでしょう。
でも、音楽がどういう風に音楽家からリスナーの方々に届くのかという商業形態とは関係なく、音楽というもの自体は、必ず人類にとって普遍的なニーズがあるものだと私は思っています。