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【中本裕己 エンタなう】文豪ディケンズの古典が貧乏脱出の面白コメディーに 勇気もらえる優しい映画「どん底作家の人生に幸あれ!」

 英文豪ディケンズの自伝的小説「デイヴィッド・コパフィールド」が、山ありオチありの痛快時代劇に生まれ変わった。不幸をネタとして吹き飛ばしてくれる映画「どん底作家の人生に幸あれ!」(公開中)は、コメディアンが極貧時代を振り返る半生記のようでもあり、堅苦しさ抜きの普遍的な作品といえる。

 デイヴィッドは少年時代を、優しい母と面倒見のいい家政婦に囲まれて育つが、暴力的な継父の登場で一変。都会の工場に送られ過酷な目にあった後、母の死をきっかけに脱走する。唯一の身内である伯母の屋敷に逃げ込み、援助を受けて上流階級の学校に通うが、今度は伯母が没落…。

 怒鳴られても殴られてもデイヴィッドは決してめげない。折々で出くわした“変わり者”たちの言動をメモ魔として書き留める。その体験を膨(ふく)らませた面白話に人々は魅せられる。初恋、就職、また破滅…うまくいきかけては、またどん底に突き落とされる。所詮、人生はその繰り返し。笑ってやり過ごそうじゃないかというのがイヌアッチ監督の狙いか。原作を換骨奪胎して、元気になれる要素をうまく抽出した。

 デイヴィッド役に、『スラムドッグ$ミリオネア』のインド系英国俳優、デヴ・パテルを起用したように、あらゆる人種を混ぜ合わせたキャスティングも出色で違和感がない。コロナ禍中で、どこの国の人が見ても、勇気がもらえる優しい映画に仕上がった。(中本裕己)

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