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【酒井政利 時代のサカイ目】若い世代も歌い継ぐ最後の1枚 筒美京平氏公認トリビュートアルバム「筒美京平SONGBOOK」の奥深さ (1/2ページ)

 昨年10月、80歳で亡くなった作曲家、筒美京平氏のトリビュートアルバム『筒美京平SONG BOOK』が制作された。もともとは生前、氏の生誕80年を記念して進められていたアルバムだったため、本人が公認した最後の1枚になった。

 筒美氏は大学卒業後、日本グラモフォン(後のポリドール、現ユニバーサルミュージック・ジャパン)に入社し、洋楽部でディレクターとして活躍していた。

 当時、邦楽では西田佐知子のボーカルがどこか洋楽っぽくて面白いといっていた。その後、作曲家として活動を始め、作詞家の橋本淳と組んで西田に書いた『くれないホテル』(1969年)がお気に入りだった。

 その後退社しフリーになって作曲したのが、いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』(68年)。レコーディングのとき、歌い方に西田色を投入して大ヒット。ここから日本のJ-POPの歴史が始まった。

 トリビュートアルバムには、昭和を知らない世代も参加している。

 ヒット曲『猫』の動画再生回数とストリーミングの再生回数を合わせると2億回にもなるDISH//の北村匠海が、71年にレコード大賞を受賞した尾崎紀世彦の『また逢う日まで』を歌う。

 「原曲とはまた違った若さが出ていて、新たな『また逢う日まで』になれば」と筒美氏のまな弟子でアルバムのプロデューサーを務めた武部聡志はいう。

 北村も「一番届いてほしいのは同世代のみんな」という。平成生まれの北村は、尾崎のように情熱的にではなく、自分の世界で歌い、思いを直球で伝えている。楽曲の別の顔を引き出したともいえる。