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【ぴいぷる】映画監督・高橋伴明 新作はいつも遺作 妻・高橋恵子のゲキで吹っ切れた「自由な映画」 (1/3ページ)

 「この作品が遺作になるかもしれない…」

 2年前、新作映画を撮る前、こう覚悟したという。

 監督としての名を日本映画界に知らしめた出世作「TATTOO〈刺青〉あり」では、凶悪な銀行強盗立てこもり犯人を、「BOX 袴田事件 命とは」では罪を裁くことに葛藤する裁判官を。また、「火火」では陶芸の世界で自立の道を切り開く女性陶芸家…と、作品ごとにさまざまなジャンルの人物像を描き続けてきた。

 監督デビューから、半世紀近くの邦画界の重鎮が発した「遺作」という言葉に周囲は驚かないはずがない。

 だが、本人はいたってこんな感じだ。

 「近年、新作にかかる際にはいつも、そんな覚悟で臨んできましたから」。そう語って静かに笑ってみせた。

 奈良で育ち、地元の進学校、東大寺学園高校から早稲田大学へ進学。映画研究会に入るも、学生運動で大学は封鎖。「講義もないので自然に中退していました」と振り返る。その後、若松孝二監督率いる若松プロに入り、頭角を現す。

 重厚な社会派作品を得意とし、実在の事件や人物をテーマに、人間の正義感や倫理観などを見る者に真正面から突き付けてきた。

 新作が問うのは死生観だ。主人公は在宅の末期医療に携わる医師。

 「65歳を超えた頃から、自分の死に方について考え始め、以来“死”はずっと映画で描きたいと構想していたテーマなんです」と打ち明ける。

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