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【桂春蝶の蝶々発止。】生まれながらの悪人などいない、人間社会に投げかける「愛」の大切さ 映画「すばらしき世界」 (1/2ページ)

 西川美和監督作品の映画「すばらしき世界」を見ました。下町の片隅で暮らす、人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯。不寛容と善意が織りなす人間関係の中で、愛も悲痛も、光も影も、全部ミキサーの中でかき回し、その場で一気飲みするような映画でした。

 反社会的立場にいた方が更生し、社会復帰することが困難なのは、ある経験上、私は理解できます。父の友人で、普通の会社員でしたが、若い頃にずいぶんやんちゃをして背中に入れ墨を背負った人がおりました。海水浴に行っても、その人は服を着たまま子供たちと遊んでいました。

 彼にとっては文字通り、「消せない過去」だった彫り物。その後、その人は亡くなりました。自殺で、しかも焼身自殺でした。自ら、その入れ墨を燃やすことでしか過去を断ち切れなかったのか…。多くの苦悩があった見当は子供でも分かりました。私はその話を鮮明に覚えてます。

 生まれながらの悪人などいませんよ。育ってゆく過程で、さまざまな因縁の中で運命的に人は道からそれてしまう。どうにも生きづらい人生を背負う方々が、唯一救われることがあるとするなら、(最大限に陳腐だが、それでも書くことを許してください)それは「愛」しかないと私は思うのです。

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