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【桂春蝶の蝶々発止。】生まれながらの悪人などいない、人間社会に投げかける「愛」の大切さ 映画「すばらしき世界」 (2/2ページ)

 「すばらしき世界」という映画が私たちに投げかけるもの、それは人間愛です。その人間の「愛」を下世話な言葉にいたしますと、これまた陳腐だが、「共助」という言葉になるのでしょう。いわば人間同士のコミュニティー、周りからの善意や思いやり、励ましなどがあったら、その人の人生は全く違うものになると思います。

 役所広司さん演じる主人公、三上正夫はこの世の地獄から「すばらしき世界」を見いだしました。しかし、それは身近な人たちからの熱い愛や思いがあり、本人のたゆまぬ努力があったからです。「共助と自助」があって成り立った「すばらしき世界」。

 世間ではよく、「公助が大切だ」と言われるが、それには坂口安吾の「堕落論」での一節を引用すると…「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わねばならない。政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である」。これで大体の説明はつくと私は思います。

 公助を決定する政治家さんたちも、公助を求めるテレビのコメンテーターにも、そこに「愛」はございません。生活保護などのお金はありがたいが、本当に人を救うのは生活保護費よりも生身の人間からの「思いを持って、かける時間」だと私は思う。

 この映画は、西川監督から人間社会全体に対する「愛量測定」なのかもしれません。愛があればきっと、この映画は「すばらしき世界」に見えるはずです。

 ■桂春蝶(かつら・しゅんちょう) 1975年、大阪府生まれ。父、二代目桂春蝶の死をきっかけに、落語家になることを決意。94年、三代目桂春団治に入門。2009年「三代目桂春蝶」襲名。明るく華のある芸風で人気。人情噺(ばなし)の古典から、新作までこなす。14年、大阪市の「咲くやこの花賞」受賞。

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