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【今よみがえる相米慎二の世界】キョンキョンの「狂っちゃってる」感情引き出す 「風花」(2001年) (1/2ページ)

 相米慎二は2001年9月、肺がんのため53歳で死去した。早すぎる死だった。生涯独身。多作ではないがキラリと光る13作を残している。

 今回の連載では書けなかったが、薬師丸ひろ子のデビュー作『翔んだカップル』(1980年)や永瀬正敏のデビュー作『ションベンライダー』(83年)、斉藤由貴の初主演作『雪の断章~情熱』(85年)、第46回カンヌ国際映画祭に出品され芸術選奨文部大臣賞受賞の『お引越し』(94年)、第49回ベルリン国際映画祭批評家連盟賞を受けた『あ、春』(98年)などがある。

 残念だったのは初の時代劇となる予定だった浅田次郎原作の『壬生義士伝』(2003年)。クランクイン直前に亡くなってしまったので、実質の遺作は『風花』である。ちなみに風花とは風に舞う雪のこと。原作は鳴海章による同名の恋愛小説(講談社)。

 この映画はロードムービーで、ロケは北海道北部の古びた街並みがそのまま出てくる。明治・大正の面影が残る食堂、増毛・雨竜からレモン(小泉今日子)が自殺を図る大雪山系上川郡の愛山渓温泉へと移動。ここは旭川から北見に向かって国道39号を10キロ入った行き止まりにある。北海道に詳しい相米監督ならではのチョイスといえる。

 シナリオ段階ではレモンが死ぬ設定だったが、監督はそう決めずに撮り始めたそうだ。そしてテイクを重ねるうちに小泉今日子と浅野忠信の感情の流れを見て結末をハッピーエンドにした。

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