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【中本裕己 エンタなう】大儲けの廉価アパレル業界安さの裏で笑えない現実 映画「グリードファストファッション帝国の真実」

 いまや欧米からアジアまで世界を席巻する廉価アパレルブランド。売上高拡大の裏側をユーモアをまじえて皮肉たっぷりに描く映画「グリード ファストファッション帝国の真実」(公開中)には、笑うに笑えない新たな“階級社会”の現実が凝縮されている。

 地中海を臨むギリシャ・ミコノス島の高台。ファストファッションブランドの経営で財を成したリチャード・マクリディ(スティーブ・クーガン)が、古代ギリシャを再現したド派手な還暦パーティーをぶち上げた。英当局から脱税疑惑や国外縫製工場の劣悪な労働問題を追及され、タブロイド紙は「強欲な(Greedy)経営者」と揶揄。その名誉挽回を狙ってのことだが、準備が進むにつれ傲慢なマクリディと、家族や部下との間に不協和音が生じる。

 本物のライオンとの決闘場作りのためこき使われる東欧の労働者、「海岸の景観を損なう」とキャンプ生活を追われるシリア難民、そして経営陣が“貴族”のコスプレに扮したパーティーで“奴隷”の衣装をあてがわれたアジア人女性が抱える悲しい過去とは…。さまざまな風刺が込められたパーティーの幕が開く。

 嫌な予感しかしないラストへ向けてのブラックな展開には、溜飲が下がる。マクリディの半生記を書くため密着取材していた御用記者が目を覚ます視点で描かれた構成もわかりやすい。映画が終わり、ふと自分の着る服がどうして安価なのか、考えずにいられない。実在の英実業家がモデル。

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