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【歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡】ツッパリ系最後の作品 「十戒」に「イライラするわー」 (2/3ページ)

 林はアレンジも担当したが「レコーディングも立ち合わせてもらえなかった」と当時を振り返っていた。そのため、当初の「仕上がりが不安だった」というが、最終的にできあがってきた作品を聞いて「完璧なものに仕上がっていました」と明菜の才能を評していた。

 一方、『十戒』については、売野も『コンプリート・シングル・コレクションズ~ファースト・テン・イヤーズ』(ワーナー)のライナー・ノーツで「ぼくの創り上げた詞の主人公を見事に演じ、脚本以上の映像をつくってしまう素晴らしきシンガーアクトレス」と評する。

 もっとも田中は「本質的に明菜は完璧主義者でしたからね。おそらく島田さんの指示というより、とにかく自分が納得するまで歌い切っていた。それが明菜でしたから。論理的に語るわけではありませんが、妥協はなかった。ですが、僕が思うに、やはり『十戒』には詞のセリフではありませんが『イライラするわー』だったんじゃないでしょうか」とも。

 その『十戒』について、評論家の中川右介も著書『松田聖子と中森明菜(増補版)一九八〇年代の革命』(朝日文庫)の中で《北ウイングから霧の国に行ったはずが、どこか南の国で白いヨットの美少年に手を振っている中森明菜に、ファンは戸惑っているのではないかとの判断が、どこかで下された。ツッパリ系に戻り》と前置きした上で、次のように記す。

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