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1匹も殺したくない…動物愛護の礎築いた若き獣医師たちの奮闘 「犬部!」22日公開

 世はまさにペットブーム。だがその裏には悲しい現実が。捨てられた動物は飼い主が見つからなければ「処分」される運命だ。22日公開の映画『犬部!』(篠原哲雄監督)はまだ現在ほど動物愛護の意識がなかった時代に、「処分」される犬猫を救いたい思いで立ち上がった青年獣医師たちの実話を基にしている。

 「生きているものはみんな助ける、犬も猫も。それが犬部だ!」

 2003年、青森の十和田市に暮らす花井颯太(林遣都)は獣医大学に通う獣医師の卵。「犬バカ」と言われるほど筋金入りの動物好き。

 颯太と同じくらい動物が好きな同級生の柴崎涼介(中川大志)や佐備川よしみ(大原櫻子)と、教授の助手・秋田(浅香航大)も加え「犬部」を立ち上げる。

 16年後、都内で動物病院を開く颯太のもとに女性が訪れ、十和田市のあるペットショップが多頭数飼育崩壊を起こして困っているという。その店に行くと糞尿(ふんにょう)まみれの犬たちが…。店主を説得してすべての犬を引き取ったが、颯太は警察に逮捕されてしまった。

 一方、柴崎は動物を処分から救うには動物愛護センターに勤めるのが一番といっていたのに、いつの間にか辞めて行方知れずになっていた…。

 2010年に発行された片野ゆか著『北里大学獣医学部 犬部!』(ポプラ社刊)が原作。その後、コミック化して描かれている。

 獣医師になるには動物を安楽死させる生体実験が避けて通れない時代、1匹も殺したくないと異を唱えたひとりの学生がいた。その学生が立ち上げたサークルが「犬部」であり、颯太のモデルとなった。それが太田快作医師だ。当時は教員だけでなく学生からも批判があったという。だが彼の起こした行動のおかげで現在、生体実験は行われなくなったという。

 異端の存在だった「犬部」が動物愛護の礎を築いたといってもいい。命の大切さを、譲渡活動を通じて世に広めた功績は大きい。だが殺処分ゼロはまだなしえていないのが現実だ。 (望月苑巳)