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すべては“お笑いビッグ3”から始まった “目からうろこ”の必読書

 社会学者の太田省一さんの新書『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』(筑摩書房)で、お笑いビッグ3や第7世代、世代間闘争について考えた。

 『SMAPと平成ニッポン』(光文社新書)や『芸人最強社会ニッポン』(朝日新書)などの著書は芸能メディアに携わる者の必読書といっていいだろう。

 社会学者の著だが論文ではない。巻末の参考文献一覧に並ぶ著書、雑誌、新聞、ムック、インターネットに着眼し、自分の論にあった言葉を抽出し編成する。その絶妙な組み立て方が“目からうろこ”なのである。

 日本はテレビのネタ番組の影響で「笑う社会」が生まれたと定義する。そこにタモリ、たけし、さんまのビッグ3がどう関係したのか。彼らの生い立ちや笑いの源泉にさかのぼり、つまびらかにしようと試みる。

 しかし、ビッグ3の時代が変わり目を迎えているという。きっかけは、霜降り明星やEXITらお笑い第7世代の台頭だ。お笑いを世代論で切り取る定義は1990年代にもあった。大ざっぱで、きめこまやかでない点が人々に好まれる。

 バブル世代やゆとり教育世代と違い、お笑いは第1から第7まで連なり、今も第1世代が生き延びているからすごい。第2世代のビッグ3が台頭して早40年以上。レギュラー番組が常にある長期安定政権だ。次世代のダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題らも現役だ。

 上の世代が健在な中、第7世代(霜降り明星・せいやのラジオ番組でのトークが発端)の台頭は世代間闘争を意味する。が、物騒なことは起きない。明確な勝ち負けはないのが、お笑いの感覚。勝負より工夫で笑いを探求するからだ。

 生き残る芸人の共通点はゼロベースで発想し続けている独自性。同世代でも壮絶な生き残り合戦が繰り広げられる。数年後、第7世代で誰が生き残っているか。先達たちの長期安定政権を崩すことができるか。世代間闘争と同世代間競争。芸人は本当に大変だ。

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