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【歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡】所属レコード会社社員にはボーナス9・5カ月分! 楽曲提供・井上陽水のアルバムも売れる「明菜効果」 (1/3ページ)

 デビュー3年目を迎えた中森明菜は、自我に目覚め、作品や衣装に自身のセンスを反映し始めた。所属レコード会社のワーナー・パイオニア(現ワーナーミュージック・ジャパン)で担当プロモーターだった田中良明(現在は「沢里裕二」名義で作家活動)は、変化していく明菜を間近で見てきた1人である。

 「時代の空気感を敏感に嗅ぎ取る彼女の感覚は、どうしても旧世代的アイドル感で接触してきたわれわれスタッフとは真逆をいく感じでしたね。他のアイドルと大きく異なっていたのは、比較とか競争という意識がまったくなかったことでしょう。とはいえ、彼女がそんなことを論理的に語るわけはないですし」

 もはや明菜はアイドル歌手という概念では捉えられなくなっていた。が、一方で松田聖子は、明菜とは対照的にアイドル歌手の道を邁進(まいしん)していた。両者の違いが鮮明となったのが『飾りじゃないのよ涙は』だった。

 もともと明菜のボーカルにほれ込んだ井上陽水が自らプレゼンした作品だが、デビューから明菜の楽曲のディレクションを担当してきた島田雄三は「単にアルバム収録曲としか考えていなかった」という。当時を知る音楽関係者はこう話す。

 「陽水の作品に対するこだわりの表れでしょう。それほど明菜のボーカルにほれ込んでいたともいえますね。この作品は陽水が自らオケ録りした上、仮歌を自ら吹き込んでプレゼンしたといわれています。要するに完璧な形でのプレゼンです。当然ですが誰が聴いても素晴らしい作品だったことは言うまでもなく、単なるアルバム収録曲ではもったいないとシングル化が決まったのです」

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