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「没後40年 映画監督 五所平之助」 市井の人々に寄り添った作品 東京・京橋の国立映画アーカイブで11月23日まで

 東京・京橋の国立映画アーカイブで開催中の「没後40年 映画監督 五所平之助」。市井の人々に寄り添った作品は今もなお心を打つ。11月23日まで。

 五所監督といえば、サイレント時代から市井の人々の人間模様を描くことが得意だった。帰還兵とどう接していいか分からない子供、すれ違いばかりの若い男女の恋愛、子供の教育に悩む父、家庭生活に悩む妻…。どれもよくある話だが、それぞれに味があった。

 今回は、日本映画初の本格トーキー作品『マダムと女房』(1931年)から遺作となったドキュメンタリー作品『わが街三島 1977年の証言』(77年)まで36本を厳選している。

 『マダムと女房』は現存が確認されている五所の最古の作品。国産初のトーキーに挑んだ五所がカメラの設定や同時録音などに苦心したことがうかがえる。

 『五重塔』(44年)は文豪幸田露伴の名作。五所にしては珍しい文芸作品で、96年にロシアで発見されたオリジナルに近い尺で67分ある。

 『挽歌』(57年)も原田康子の大ベストセラー小説。五所は久我美子が演じたヒロイン、怜子に未来の女性像を見いだしたとされる。

 『女と味噌汁』(68年)はTBSで放送された平岩弓枝原作のドラマを映画化。主演はテレビと同じ池内淳子。芸者をしながらライトバンでみそ汁を売り歩くという設定に疑問を感じていた五所は最初、監督を引き受けようか迷ったという。

 悲しみやユーモアを交えながら人生の機微を描いた五所平之助はもっと評価されてもよい監督だろう。 (望月苑巳)

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