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【久住昌之 するりベント酒】京都「たん熊」の「ちょっと贅沢な京のいなり」にエビスのビール 飲み屋ではとうていできない飲み方 (2/2ページ)

 「午後11時半。夜食にたん熊の稲荷寿司3個で酒一合。今年の冬は冷える」

 なんて『池波正太郎の銀座日記』の読み過ぎ(ウソ、ちゃんと全部は読んでない)。

 この小ぶりのおいなりさんが、うまい。ほんのり柚子の香りがするのが京都っぽくて、小僧らしい。でも、東京だとパッケージに書いちゃうね、「ゆず風味」とか。小さく。我慢できなくて。ダサイ。

 でも実際、柚子の効かせ具合がいい。まわりの油揚げが確かに絶妙でおいしい。

 小学校の時、弁当のおいなりさん、暴力的にでかいの持ってくるやついたな。箸じゃ重くて一個持てないようなやつ。2個で十分、みたいな。あれも今や懐かしい。

 おいなりさんを一つ食べて、口がちょいと脂っぽくなったところへ、ビールを流し込む。これがたまらない。エビス。お稲荷さんに恵比寿って、いいのか?まあいいや両方神様だ。うまくやるだろう。実際、味の相性いい。

 もう一つとって、半分食べる。歯ですっと切れるのがお上品。細身で。これなら舞子はんでも食べれるどすな。って、全然京都になってない。

 ビールをグビビと飲んで、ここで甘酢生姜ひと切れ、うまし。これが口直しにさわやか。辛味が口の中を引き締める。おいなりさんがもう一度おいしい。

 あーこの飲み方はいい。飲み屋ではとうていできない。ビールがいいね。やっぱ池波にはなれんわ。って、池波先生は、生涯おいなりさんで酒なんか飲まなかったかもね。すいません。剣客商売、読みます!

 ■久住昌之(くすみ・まさゆき) 1958年7月15日、東京都生まれ。法政大学社会学部卒。81年、泉晴紀との“泉昌之”名でマンガ家デビュー。実弟の久住卓也とのユニット“Q.B.B.”の99年「中学生日記」で第45回文藝春秋漫画賞受賞。原作を手がけた「孤独のグルメ」(画・谷口ジロー)は松重豊主演で今年シーズン9(テレビ東京)が終了。

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