【元気のヒミツ】寄生動物との共存で、免疫力アップ 寄生虫博士・藤田紘一郎氏

2010.02.04


寄生虫博士として知られる藤田紘一郎氏【拡大】

 サナダ虫の標本を片手に、ウンチをかたどった帽子をかぶってほほ笑むのは寄生虫博士として知られる藤田紘一郎氏(70)。大学定年後も教鞭をとるなど多忙な毎日を送り、数多く手がける講演は、20年近く一度もドタキャンをしたことがないという“肉体派”だ。

 「小さい頃は体の弱い子供でした。村医に『栄養不可』と診断され、結核の専門医だった父が『栄養不良の間違いだろう!』と文句を言っていたことを覚えています」

 そんな藤田氏が“強く”なったのは、自然の食材に手を加えずに食べたり、昆虫や動物たちに囲まれて、生きる力が育まれたりしたことが影響しているという。

 「私が元気でいられるのは、腸内細菌やウイルスなどの微生物とうまく付き合っているからでしょう」

 寄生虫の研究を進める中で回虫からアレルギーを抑える物質を発見。その効力を試すために15年もの間、自分のお腹の中にサナダ虫を飼っていたこともある。

 「1度コンビニエンスストアのトイレでサナダ虫がお尻から途中まで出てしまい、対処に困っていたら怪しまれて警察が来てしまったことがありました(笑)」

 元気でいるためには、たくさんの生物との共生が不可欠だと語る藤田氏。

 診療や研修のため、年の4分の1を過ごすというインドネシアやフィリピンの山奥では、微生物や昆虫、動物たちと一緒に生活を送るため、気持ちが安定して体力も出てくるという。

 「人間の細胞は1万年前と変わっていないんです。38億年という生物の歴史を考えると、1万年という時間はまばたきのような瞬間で、こんな短い期間では変わらないんですね」

 1万年前といえば人間が裸でジャングルや草原に暮らしていた時代。当時と比べ脚の長さやあごの形は変化したものの、細胞そのものは昔のままだという。

 「人類の文明化で社会は快適で、効率的で、清潔になりました。その結果、アトピーや花粉症といったアレルギー病に苦しむことになった。それは、人類と共生してきた微生物や寄生動物が身の回りにいなくなり、そのために培ってきた免疫力が失われたからなんです」

 元気になるには1万年前に近い環境に戻ることが望ましいというが、何も裸でジャングルを走れという意味ではなさそうだ。

 「座りがちで社会との接触から身を引き、食べ物がいつでもどこでも手に入る生活をやめることです。運動も必要ですが、何事もやりすぎはいけません。明るい気持ちで笑って過ごすことも、がん細胞を攻撃するナチュラルキラー(NK)細胞を増やし、免疫力を高めるのです」

 藤田氏がかぶるウンチ帽の意味がここに隠されていた。

 (ペン・カメラ 片岡友理)

■ふじた・こういちろう 1939年、中国東北部(旧満州)生まれ。東京医科歯科大学卒、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。東京医科歯科大学大学院教授などを経て現在、同大学名誉教授。人間総合科学大学人間科学部教授。主な著書に『免疫力を高める快腸生活』(中経出版)、『寄生虫博士の「不老」の免疫学−125歳まで元気で生きる!』、『万病を防ぐ「水」の飲み方・選び方』(いずれも講談社)などがある。

 

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