個性派俳優、佐藤慶さん死去 “本番演技”も話題に

2010.05.06


佐藤慶さん【拡大】

 個性派俳優として数多くの名匠の作品に出演する一方、映画「白日夢」での“本番演技”が話題を呼んだ佐藤慶(さとう・けい、本名・佐藤慶之助=さとう・けいのすけ)さんが2日午後4時19分、肺炎のため死去した。81歳。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長男、純(じゅん)氏。

 関係者によると、佐藤さんはこの数年、体力を落として体調を崩しやすくなり、寝込むことが多くなったが、昨年は映画「60歳のラブレター」「カイジ 人生逆転ゲーム」に出演。いずれもクセのある脇役で、存在感はゆるぎなかった。

 佐藤さんは福島県会津若松市出身。会津若松市役所に勤務するかたわら劇団を結成したが、無断欠勤して県の演劇大会に出場したことから市役所を辞めて1950年に上京。52年に俳優座養成所の4期生となった。59年に小林正樹監督の「人間の條件/第3・4部」の脱走兵役で映画初出演を果たし、60年の大島渚監督「青春残酷物語」への出演をきっかけに大島監督作品の常連となり、新藤兼人監督の「鬼婆」(64年)では、パナマ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した。

 81年公開の映画「白日夢」(武智鉄二監督)では歯医者・ドクトル役で出演。女優、愛染恭子(52)との“本番”がクローズアップされた。「公開後は取材などでこの話題に触れることを嫌がったが、出演したことについては誇りを持っていた」(製作関係者)。事実上のデビュー作だった愛染に佐藤さんは演技をアドバイスして終始、愛染をリード、作品を盛り立て、海外でも高く評価された。

 ホームグラウンドの舞台はもちろん、テレビでもNHK大河ドラマ「太閤記」や「徳川家康」に出演。NET(現テレビ朝日)の「白い巨塔」(67年)では主役の財前五郎役を演じ、存在感のある俳優として晩年まで引く手あまただった。

 99年の映画「金融腐蝕列島[呪縛]」では自殺する銀行頭取役で出演。原田眞人監督は「いつも映画を撮るときは出演してもらいたいと思っていた。演技にゆとりがあって、共演者を笑わせて場を和ませる方。また映画に出てほしかったのに、残念です」と名優の死を惜しんだ。

■映画評論家の佐藤忠男さん 「『青春残酷物語』をはじめ、大島渚監督の作品は佐藤さん抜きには成立しない。冷酷非情な役が得意で、権力の権化としての『絞死刑』『儀式』、権力に対抗する『白昼の通り魔』と、両方の役が演じられる、切れ味鋭く不気味な底光りを感じさせる役者でした。でも、本人はおとなしくて映画のような激しさは感じられない人。惜しいことをしました」

 

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