洋楽=ロックの概念を覆したノーランズ 周囲の反対押し切り“日本上陸”

2013.07.17


1980年に来日した際のノーランズ。右端が五女のバーニー・ノーランさん【拡大】

 1980年、日本の音楽シーンを席巻したポップス「ダンシング・シスター」。あのノーランズの元メンバーでメーンボーカルを務めた五女のバーニー・ノーランさんが亡くなった。まだ52歳だった。

 長女アン、四女リンダに続き、3年前にバーニーさんも乳がんと診断され、切除手術や化学療法で闘病生活を送っていた。

 ノーランズは70年代後半から80年代前半にかけて世界的に人気を得た、アイルランド出身の姉妹グループ。

 そもそもはクラブ歌手だった両親の元に生まれた2男6女が、両親と一緒に「ザ・シンキング・ノーランズ」としてイギリスでデビュー。

 その後、5人姉妹での活動になり、フランク・シナトラにかわいがられ、彼のイギリス公演の際には前座を務めたりしていた。

 そんな折、たまたまロンドンに出張していたEPICソニーの嗅覚派プロデューサーの目に留まる。

 これはイイと直感し、ノーランズを日本で売り出そうとしたが、ちょうど日本は南沙織に始まったアイドルブームで、山口百恵、キャンディーズと続く中での80年代。

 洋楽といえばイコール・ロックを誰もがイメージする時代である。ブロンディ、マイケル・ジャクソン、クイーン、ビリー・ジョエルらに代表される音楽シーンに、洋楽系のアイドルともいえるノーランズを押すのは「無謀だ」という声が多かった。唯一、音楽評論家の福田一郎氏だけは「おもしろい!」と後押ししたという。

 大方の予想を大きく裏切り、ノーランズは一大ブームを巻き起こす。

 80年に発売された第1弾「ダンシング・シスター」は、この年、マイケル・ジャクソンらを抑えて日本で一番売れた洋楽シングルとなる。

 洋楽なのにロックではなくポップス、また姉妹グループということで声質がそろった美しいハーモニーを聞かせ、加えてのアイドルチックなかわいらしい顔立ちにナイスバディ。日本中がノーランズに沸いたのだ。

 アイドルブームの社会現象に洋楽が加わることで、ブームをより立体的にしたのもノーランズだった。

 加えて、世の中ではラジオが元気で全盛期。「オールナイトニッポン」、「セイヤング」を始めとする人気番組が目白押しで、DJが「この歌、イイ!」と紹介して流すと、翌日以降のリスナーからのリクエストの数が一気に増え、レコード売り上げに跳ね返っていた。

 またこの年、アイドルとして人気絶頂にあった石野真子が長渕剛との結婚を発表し、世間を驚かせる中、ノーランズの「恋のハッピー・デート」をカバー。私生活そのままのような歌でもあり、ヒットチャートでノーランズ、石野真子が1位2位を独占した。

 翌81年、「第10回東京音楽祭」世界大会で第4弾の「セクシー・ミュージック」がグランプリに。

 若い世代だけでなく、中高年にも人気だったディスコブームで、どの店でもノーランズの曲がかからない日はなく、まさに刺激的な娯楽タイフーン的存在だった。

 ティーンのアイドルとして火がついたアイドルブーム。80年代、洋楽邦楽を問わずに名曲がそろう中で、その黄金期はノーランズによってもたらされたといえる。

 ■酒井政利(さかい・まさとし) 和歌山県生まれ。立教大学卒業後、日本コロムビアを経てCBS・ソニーレコード(現、ソニー・ミュージックエンタテインメント)へ。プロデューサー生活50年で、ジャニーズ系・南沙織・郷ひろみ・山口百恵・キャンディーズ・矢沢永吉ら300人余をプロデュースし、売上累計約3500億円。「愛と死をみつめて」、「魅せられて」で2度の日本レコード大賞を受賞した。2005年度、音楽業界初の文化庁長官表彰受賞。

 

注目情報(PR)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

毎日25分からのオンライン英会話。スカイプを使った1対1のレッスンが月5000円です。《体験無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!