東京・西新宿の高層マンションから飛び降りて亡くなった藤圭子さん(享年62)。昭和の歌姫として一世を風靡し、娘の宇多田ヒカル(30)をトップスターに育て上げた母親としても知られる。何度も繰り返した結婚離婚、謎の同居男性、そして周囲に見せていた奇妙な行動。なぜ、冷たいコンクリートの上で最期を迎えなければならなかったのか。死のダイブの全真相−。
藤さんが最期を迎えた現場は、東京メトロ丸ノ内線西新宿駅から西に徒歩6分、西新宿6丁目にある高層マンション(28階)だった。
警視庁などによると、藤さんは13階にある知人の30代男性宅に約6年前から同居。22日午前7時ごろ、マンション前の路上であおむけに倒れているところを通行人が見つけ、110番通報した。男性宅から飛び降り自殺を図ったとみられる。
地上に落下し動かなくなった姿を目の当たりにした住民の1人は「ガードレールのすぐそばであおむけに倒れていた。顔はきれいでしたが、頭の周りは血だまりになっていた」と振り返る。
別の男性会社員(37)は「救急隊員が抱きかかえてストレッチャーに乗せて、心臓マッサージしていたが、駄目だと思った。瞳孔が大きく開いていた。右側頭部は陥没し、口と耳から血が垂れていた。拒食症の人みたいにやせていた」。心肺停止状態で病院に搬送されたが、間もなく死亡。警視庁では遺書がなかったことから引き続き動機を調べている。
この日は恩師で作詞家、石坂まさをさん(享年71)のお別れ会の前日だった。
不可解なのは62歳の藤さんと30代知人男性の関係だ。少なくとも20歳以上の差がある。関係者によると、内縁関係はないとされ、ともに別々の部屋で寝ていたという。
同居するマンションは2006年10月に竣工し、13階には9部屋がある。男性宅は約70平方メートルの2LDKとみられ、約6年前からの付き合いを踏まえると、竣工ほどなく同居したことになる。